四国八十八箇所を巡りながらのロードムービードラマも遂に最終回。
先達(原田芳雄)を除く一行8人のうち、夫婦等のカップルを3組(6人)
も入れた意味が、最終回にしてやっとわかった気がする。最後には、
結願(お遍路の行程を無事終了する)した彼らと逆に出発する、徳久(江口洋介)
の父母もまた夫婦というカップルだ。
実際にお遍路をする人は、本当に千差万別いろんな人生のシミとか垢を
抱えているのだと思うけど、このドラマは『夫婦』というものを核にして
いたってこと。
夫婦とは、一つの道程を、2人で歩いていかなければならないもの。
だけれど、それぞれは実は「その人だけの人生」を歩いている同士でも
ある。つまり、お遍路をする同行者のようなものだ。
寺島(三浦友和)から「手をつないで歩こう」と提案された妻靖子(風吹ジュン)
が、「大事なのは形で仲良くすることじゃない」と拒否したセリフ。
「自分の田舎にいけば、お前がなりたいと言ってた日本語教師の職もある」と
言われて「私はほんとは、日本語教師になりたかったわけでもないし、
ブティックの店員をやりたかったわけでもないの」
「ほんとは、あなたと会話したかったの」
と本音を吐露したセリフ。
このどちらものセリフに、このドラマをお遍路ものにした理由があるように
感じました。
「夫婦」とは、他人同士が長い長い会話をしながら1本の道を進んでゆくこと。
それが言いたかったんじゃないだろうか?どんなカップリングであれ、
基本は「ひとり」だ。お遍路との違いは、会話する相手が「自分」から
「ステディな相手」に変わること。そして、その「ひとり」と「ひとり」が
同じ相手と向き合って会話しつづける中にこそ、自分の道もまたおのずと
見えてくるもの。そして2人の人生も最後を向かえる時には、輝くものになる。
寺島夫婦だけでなく、徳久たちもまたそのことに気づくことが出来た。
大事なことは、お互いが常に相手と向き合おうと努力しあうこと。
そういうことを教えてもらえた全4話のこのドラマ。
見終わってとってもスッキリした気分、そう、まさに私も一つの旅を
終えた気分だ。素敵なドラマをほんとにありがとう〜!

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視聴率 10.8%
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