
こまかい部分は、ツッコミ入れたいところが多々あったけれど、
最終回っていうのは、そういうのは言いっこなし!
一つのドラマが、後になってみても「良いドラマだった」と
言われるためには、最終回のオチのつけかたが良かったかどうか。
つまり最終回の出来が半分以上の責任をになっているともいえる。
途中までが良くても、最終回でコケたらもともこもないのだ。
そういう意味でも大注目していた野ブタの最終回。
私は、限りなく100点満点に近かった と採点しました。



それまでのいろんなドロドロな部分をすべて9話でかたをつけて
おいて、最終回は終始ふわんとした、暖かい空気の漂う流れにして、
トータルでのハッピーエンドを演出した点と、最後の最後に
あの“野ブタ”が、心と身体いっぱいを使って、修二のために一生懸命
頑張る姿をとてもかわいく描き、オーラスは修二とともに彰も
転校なんていう、誰も思いつかないどんでん返しを見せてくれて、
見終わったあと、なんともいえない心地よさを感じてしまった。
「連続ドラマというものが、これだけ時間がなくて大変というのを
初めて知りました」
と言ったのは、テレ朝木10『熟年離婚』の主役をやった渡哲也さん。
クランクアップの時、感想を聞かれての一言だったけど、
野ブタはそれ以上に大変だったみたいで、そういう中で、完成度の
高さを求めるのは酷というものだとも思う。
だから、最終回は、視聴者にとっていかに、気分良く見終われるか。
結局は、それだと思うから、そういう点で、100点満点に近い点と
評したんだけど、この終わり方は大いに続編ありっぽいね

要は、修二と彰が二人いれば、“なんかをやれる”ってことだよね。
ラストの修二のモノローグ
「オレたちは、どこででも生きていける」
っていうのは、1話の柳の木の行く末を心配していた修二の気持ち
との対比でのセリフだと思うんだけど、これは結局「オレは」ではなく
「オレたちは」と、彰と二人でいることを主語にしているわけだから
“二人で一つだから大丈夫”ってことでもあり(この部分は、信子が
絵馬に書いた“修二 どこにいっても大丈夫”にも掛けてある気がする)、
暗にパート2へのつながりのフレーズでもあるように受け取った。(修二と
彰以外の人を一新しての)
このドラマの最大の良さの一つは、恋愛を最低限に抑えて、
友情と、それから大人も含めた人間愛とやさしさ ってものを
一貫して軸にしてきたことだとも思う。誰かの恋愛を成就させる
形をとれば、必ず、誰かは傷つく結果になったりするし、
それでは、全員ハッピー路線にはならない。
まり子は修二にふられはしたけど、結果的には信子との友情を得る
ことも出来たし、けして立ち直れないような傷ではなかった。
製作者サイドは、全員ハッピーなんて絵空事であることは
重々わかっていながら、それをあえて出来るだけ嘘くさくならない
ように仕上げてきたことに心から拍手を送りたい。
それこそが全編に流れる最大のテーマ『人間の善』というものを
大事に思う気持ちであり、見ている青少年に向けた最大のメッセージ
でもあったと思う。
ところで、お豆腐屋の2階で、修二が信子に“人を好きになる
気持ち”について語り、お互いに感謝を伝え合うシーンだけど、
私には、なんだかお嫁入り前夜に、最後に感謝の言葉を伝える
娘(修二)とその母(信子) のように見えてしまった。
修二は人を好きになる気持ちについて、信子と彰にではなく、
「野ブタのお陰で」と、信子だけに限定して語っていたので、
“恋愛感情”と取れなくもないんだけど、このドラマだから
私はあえて、限りなく恋愛感情に近い人間愛と受け止めて
見ていたら、上に書いたような親子のような感覚を強く感じた。
だからこそ、場所も学校の屋上や、帰り道とかではなくて、
あえて彰の下宿先で、彰(お父さん)のいないところで
っていうのを選んだようにも感じたのだけど、こんなこと
思ったのは私だけかな?
まり子との決着のつけ方もほんものの海じゃなくて、教室って
いうのが返ってすごく良かったなあ、新鮮で、それでいて
いつも見慣れている教室なので、観てるこっちも落ち着いて
見られたし。このあたりも最後の最後まで、うまいな〜〜と
惚れ惚れしました。
ともかく本当にいいドラマをありがとう!!と心から言いたいし、
「DVD、必ず買わせていただきますっ!!」
